私の歯科技工士人生について。②

院内ラボに就職し、1年はアッという間に過ぎて行きました。ドクターには口腔内の事も色々教わりながら、模型と口腔内の差を自分なりに微調整しインレーに関しては80%程無調整でセットされる様になりました。この頃からクラウン、臼歯のBrもやらせてもらえる様になりました。

ここからは咬合理論が必要になるので、色々と意見が分かれますが、私は敢えて口腔内で調整が少ない方法を選び、とにかくそれを極めようと思いました。小臼歯、大臼歯で模型での調整量をわざと変えました。7番に向かうにつれて低め、低めにそれも毎回同じになる様に仕上げました。面白いもので、セットするのドクターによっていつも低いと言うドクター、まだ高いと言うドクターがいます。ここもドクターによって微調整すると、これもまた、調整量が少ない確率が上がりました。そうすると、形態云々よりも、チェアサイドの時間が短くて済む私を上手いと言ってくれます。勿論、形態についても疎かにはしませんでした。

ドクターはドクターで、患者さんを限られた時間で回さなければいけません。ここに私は目をつけました。すぐセット出来る補綴を作れる技工士が上手いと言われるんだと。私はとにかくチェアサイドの時間短縮に繋がる補綴を作る事に全力を注ぎました。

私自身、技工士として腕がいいとは全く思っていませんでした。形態も外形にはこだわりましたが、咬合面の溝や隆線などは興味ありませんでした。どうせ、削られてしまうからです。

模型上で私のクラウンを見ても、同じ技工士はこいつ上手いなとは思っていないはずです。しかし、ドクターからの評価はどうかと言うと、セットに時間がかからないとても上手い技工士だと言う評価でした。色々な先生から、ご指名頂きました。こうなると、私のラボでの評価と診療室での評価にかなり違いが出てきます。日に日に〇〇君(私の名前)でお願いします。という指示書が増えて来るのを見て、益々やる気になりました。と同時に先輩技工士の冷ややかな視線に気づき始めました。

どこにでもある話だと思いますが、年下の技工士がドクターに気に入られてるだけで、大して上手くもないのに指名もらいやがって。と言う妬み嫉みです。いじめです。遂に始まりました。

 

パート3に続きます。